2025年4月 建築基準法が変わります

ブログ, 家づくり

2025.01.15 (水)

2025年4月から、建築基準法が変わります。
業界では、結構な衝撃が走る(?)内容ですが、一般の方にはあまり知られていないと思い、紹介させていただきます。

 

どうして法改正するの?

省エネ対策を加速させるためです。

近年の地球温暖化に伴う気候変動の激しさは予想をはるか超えて身近に迫っています。世界が一丸となって取り組まなければならないはずですが、陰謀論者や一部の国では・・・。

ともあれ、我々日本人は粛々と地球温暖化を喰いとめるために使用するエネルギーを減らすことが課題となっています。

 

 

    

何が、どう変わるの?

大きな点は省エネについてです。現在、一般的な住宅には省エネについて適合義務がありませんでした。(数字目標の説明や意思の確認の義務が設計士に課されていましたが)その代わり、省エネ住宅に対して補助金や税金控除などを付し、省エネ化の普及をはかってきました。しかし、今年4月着工の物件から、省エネの基準に適合するよう義務付けされます。以前より予告されていましたが、いよいよ「きちんとしましょうね」という感じです。

 

その他に、住宅の構造に関することや手続きに関しても法改正があります。

理由はやはり省エネです。

省エネ基準を満たすため建物がどんどん重くなってきています。さらに太陽光発電の普及を促進するためにも建物を丈夫にする必要があります。また、優良な住宅を増やすため今まで届け出だけで済まされていた地域の住宅にも、「確認申請」という手続きが必要になります。

 

業界は以前よりざわついていますが、一般消費者にも影響が大きい法改正なのです。

 

 

 

困る人、得する人?

住宅購入を検討される方にとっては、建材価格の高騰に加え省エネ基準に適合させるための費用が上がることが予想されます。建設費が上がるのは好ましいことではありませんが、本来お客様のためを思えばレベルの低い住宅はお勧めできません。健康にもよくない上に資産価値もさがります。長い目で見れば、高い基準に適合させるべきです。

法改正後、高性能の住宅を建設してきた会社にとっては、なんら変わらず今まで通りの住宅計画で良いのですが、低コスト住宅をうたっていた建設会社にとってはノウハウも乏しく大変な状況に陥るでしょう。

また、都市計画区域外の建物には、いままで「確認申請」という手続きが不要でした。なので、本来守るべき法律を無視し、建物が建てられているのが現実です。今後、これらの建物を改築・増築する際には適合義務が発生します。(改修の規模によります)そうなると、さらに厄介な手続きが増えることが予想されます。リフォーム業者さんにとって手続きが大変になるのです。

本来、都市計画区域外の建物であっても法律は守られているはずものなので、まじめに取り組んできた業者にとっては、こちらもそれほど影響がないはずです。

 

これから住宅購入や増改築を検討される方にとっても、安さよりも「きちんとした」業者さんを選ばれる方がメリットがあります。法は徐々にレベルの高い基準になります。黙っていても新築建物より性能が劣っていくのはしかたのないものです。しかし、少子高齢化で建物が余っている現在において建物の価値をできるだけ高くすることは、後継者のためにも望ましいことではないでしょうか?

 


(余談ですが、空家を放置すると罰則も設けられました)

 

 

 

そのリフォーム、大丈夫?

そのリフォーム大丈夫?と業界内でもザワザワしております(笑)
主要構造部の過半=1/2を超える修繕や模様替え(取替)に関しては、「確認申請」という手続きが必要となるためです。これを超えると法に適合してますよね?という「確認」をするための申請が必要になります。省エネルギー的にも、構造的にも法に適合させる必要があるのです。
え!屋根替えも?と、業界内ざわつきましたが、屋根葺きに関しては緩和があります。

 

※窓は主要構造部ではありません。

(主要構造部:壁・柱・床(最下階は除く)・梁・屋根・又は階段 )

 

 

2025年の補助金

新築住宅に対しては新たな補助金(GX志向型住宅で160万円)が打ち出されました。しかし、さらにレベルアップされた要件になりそうです。昨年まで最大限支給されてきた「長期優良住宅」や「ZEH」の住宅にはそれぞれ80万円(+解体20万)、40万円(+解体20万)と減額され、さらに「子育て世帯」という要件が付きました。

そのほかにも、省エネへのリフォームにの補助金も継続されそうですね。

 

住宅の省エネ化の支援強化に関する予算案を閣議決定

住宅省エネキャンペーンにおける3省連携(新築・リフォーム)[PDF 214KB]

 

新築はどんどんレベルが上がりますし、今後の値上げ予告の建材も見受けられます。つまり建築費はますます高くなりそうです。

 

住宅のリフォームに対しても補助金があります。

前述したように、リフォームも法改正で手続きが増えたりと大変ではありますが、当たり前のことを当たり前に行っている業者であれば、何も問題ないはずです。

 

 

 

子育てを終えた今、住まいの見直しを考えてみませんか?

お正月に、お子様やご親戚が帰省され久しぶりににぎやかに過ごされていたお宅も多いかと思います。たまに集まるお宅を、快適で安心に過ごすことができるようにリフォームをしませんか?

ぐるり設計室では、数字だけでは測れない快適性や豊かさを提供できるよう努めてまいります。

気になった方は、お問い合わせからご連絡ください。

 

 

PS、 

最近めっきり寒さを感じます。北海道生まれだから、寒さは平気だとか雪道にも強いだとか思われることがありますが、全然弱いです。きっと平均値よりも弱いです。

地球全体の温暖化の問題より、実際の暑さ寒さの方が身に染みて危機を感じています。

みんなで団結して、次世代のために地球を救いましょう!


小さな家のすすめ

絵本「ちいさいおうち」やドラマ「大草原の小さな家」が好きでした。

幼少期に山のふもとの小さい家に暮らしていたので原風景として刻まれているせいかもかもしれません。住宅の脇には、父が一から手で作った小屋があり、その周りにはサクランボの木やスモモの木が季節ごとにの実を実らせます。出入口付近にはバラが植えられて、ナマケモノの私は近道しようとして、その上で転び痛い目にあいました。ちょっとした畑の向こう側には小川が流れていて、カエルやサンショウウオの卵を採取したり、玄関先にはかご型のブランコが据え付けられていて、友達が来たらそこでおままごとしたりして遊んだりしました。ちょっと、山の中に入って遊んだり、今では考えられない環境です。

 

そんな自分の勝手な感傷を抜きにしても、小さな家にはメリットがたくさんあります。
そんなメリットを紹介できればと思っています。

住宅建築計画が始まるのは、そこで暮らす家族が多いとき、又はこれから多くなると見込まれる時点だと思います。しかし家族が多い時期は、あっという間に過ぎ去ってしまいます。現在の核家族化、少子化の宿命なのでしょう。

なので、できる限り小さな家をお勧めしたいと常日頃思っています。

小さい家にはこんなにメリットがあります。

一つづつ解説していきます。

• 日差しや風を取り込みやすい

敷地に対して、家を大きく計画すると、どうしても風の通りや日の入りが悪くなります。

最近は高断熱高気密住宅なので快適な住環境は実現できるのですが、豊かで幸せな暮らしとは少し違う気がしています。気候の良い季節には、外からの心地よい風を感じたいですし、朝の光を感じた風に揺らぐ緑を楽しむことなど、ささいなことに幸せが潜んでいる気がしてます。

さらに、建物自体にも良い影響があります。床下や外壁内部、小屋裏などの見えない部分にも通気が必要です。断熱方法にもよりますが床下や外壁小屋裏内の環境は住宅の寿命を決めるうえで重要です。できるだけ通気を良くすることで、内部の湿気を逃がし乾燥させることで建物の高寿命化につながります。湿度の高い九州ではなおのことで、建物内部の通気を良くし乾燥させることで、木は強くなりシロアリ被害の予防につながります。(シロアリは通風を嫌います)

境界ギリギリの部分は、通気が悪くなり湿気がたまりがちなのです。見えないところにも気を配りたいですね。

• インテリアを楽しむ

敷地ギリギリに窓を設けようとすると、法の採光規制が厳しくなりどうしても大きな窓が必要になります。大きな窓を設けるとどうしても壁が少なくなります。

それに比べ、敷地から建物を離して計画できると窓が小さくても日差しや風を取り込むことができ、結果壁が増え家具を配置する余白がうまれます。花を飾ったり、好みの家具を楽しんだり、絵画をかけたり。それに加え、外構に植栽があるとさらに心が豊かになることでしょう。季節も感じられ野鳥が訪れたりもします。

手入れの手間が増えますが、それも楽しいひと時となり豊かな時間となるでしょう。

インテリアとは別の話になりますが、壁が増えると、構造的にも強くなります。小さな建物は風の影響も受けにくく、耐震的にも耐風的にも有利になります。

• コストダウン

当たり前のことですが、建物が小さいとコストダウンつながります。一坪90万円とします。単純に90万だけではなく融資を受けると利息が付いてきますよね。その一坪の費用があればゴージャスな家族旅行も実現することができます。家族の思い出を増やすことができるのです。

さらにランニングコストもダウンできます。空調などの電気代はどうしても建物の大きさに依存します。固定資産税も大きさに付随して金額が上がります。

 

• メンテナンスが楽に

広い家を良好に保つには、それなりにお金も時間も必要になります。

掃除一つをとっても、簡単に想像できるでしょう。

小さい家は時間も短縮することができます。

長期で考えると外壁、屋根のメンテナンスや床下のシロアリ点検、配管の点検メンテナンスなども建物が小さいと費用が少なくすむでしょう。

建物を長期で大切にしていくには大切なことです。

また、建物が広いと空気がよどむ箇所が産まれやすく、そこから木材が傷んでくることがよくあります。

また、建物が大きいと、日差しが届かない箇所も生まれやすく、暗い場所は汚れが目立たず、掃除されにくくなったりもします。(暗い場所があるのは、個人的には好きなのですが)

 

• 庭を楽しむ

人間、土に触れなければならないと常日頃思っています。土というより「自然に」でしょうか。

話はそれますが、最近時間管理の話を聞きました。

効率的に何かしようとすると焦燥感にかられて忙しく感じられる。そのわりに効率的な作業とならない。やらないことを決める方が重要で、さらに、無駄を楽しむ心の余裕を持つことが、生きた時間の使い方につながるのだということです。この話以外にも、そのようなことが書かれた書籍も多数あったなと思い返しました。

つまり、効率重視より余白を作ることが大切なんですね。

  土や海、自然に触れる時間はまさしくそれだと思っています。海草を採取するお手伝いをしながら、漁師のお嫁さんにお話を聞く機会がありました。「結婚生活いろいろあったけどこの(採取する)作業が癒しになっていた」と伺いました。お手伝いしながら確かに、一心に没頭し作業することは心が落ち着くと実感したのを覚えています。

庭の手入れを苦に思う方も多いのですが、一心に草を取る作業も、心が癒すことになるのかも?ならなかったらすみません(笑)

•家族との距離感が近くなる

家が小さいと、家族の気配が伝わりやすものです。

「おーい」といえば声も届くのも便利です(笑)

人間同士の意思伝達は言葉やジェスチャーだけではない気がしています。それは、気配とか、オーラとか、電磁波、素粒子なのかもしれません?スピリチュアルなことなどはわからないのですが、確かに同じに空間にいないと伝わらないことがあることを、コロナ禍で感じた人も多いはずです。

  時にわずらわしく感じる家族間ですが、物理的に離れられないような環境下であれば何かしらの解決策も生まれるものなのかもしれません。(時には逃げられるスペースがあるとなお良いのかもと思いつつ)

• 無駄なものが増えない

よくお聞きするのが収納をもっと増やしたいとの声です。

 

収納を増やしたい気持ち、よ~くわかります。しかし、その収納されているものたちは本当に必要とされているものでしょうか?収納スペースがあるばかりに、不必要なものが増えてしまうような気がしませんか。(我が家にも開かずの収納スペースがあるので自戒込めて。)

 

セオリーだからと安易に収納スペースを作るより、必要に応じた生きた収納計画が必要です。

 

大切な思い出の品を収納するスペースを確保しつつ、日常使いのものは循環して活用されるような収納計画が必要だと考えています。

• 狭さを感じさせない工夫もある

そうは言っても、狭苦しい感覚にストレスに感じながら暮らすのは嫌なものです。

狭苦しさを感じるのは、やはり動線が狭いときや、視界がごちゃついて見えている時ではないでしょうか。そう感じないような工夫が必要で、これらをクリアするのは作る側の、私たちの責任なのでしょ

いろんなことを我慢するだけではなく、この世に一つの自分の家です。気分のが上がる部分は大切にしたいものです。

施主に、ものを増やさないでメンテナンスをまめに行うことができる心の余裕を持っていただくためにも、経済的・時間的な余裕が生まれる小さな家は、理想的なのです。

建物だけではなく、出会った方々には幸せになってほしい。
「ぐるり」(周囲)の幸せを願う、ぐるり設計室です。

窓の役割

いわずもがな、建物にとって窓はとても大切。
そんなお話です。

 

知ってる?窓って大切


窓にはいろんな役割があります。
明り取りや、風通はもちろん
建築設計の視点から、窓にはいろんな役割があるのをご存じでしょうか。
今回は、そんなことも知ってもらえたらうれしいと思い記事を書きます。

 

採光

 

これはみなさんご存じ。想像にもたやすいはずです。
窓のない部屋は真っ暗です。窓が大きいと明るく、小さいとあまり明るくなりません。
そんなことは説明しなくてもいいですよね(笑)すみません。
では、地面に近いところの窓は高いところの窓より暗く、部屋の奥には光が届きません。
床近くの窓は、採光にはあまり役に立たないのです。
しかし落ち着いた雰囲気を演出するのにはとてもよいし、次に説明する通風にも役に立ちます。
反対に高い位置にある窓は部屋の奥にも光を届けます。
さらに型ガラス(曇りガラス)だと、光を拡散させて部屋中均一的に光を届けます。
蔭ができにくい光です。
天窓は、建築基準法上、壁に付く窓の3倍の数値を用いることができます。
実際、それくらい部屋を明るくします。
そう、部屋の採光は建築基準法で決まっているのです。
ややこしい計算方法が決められており、低い位置の窓は法的にも不利です。
また、お隣の境界近くにある窓も光が入らないとジャッジされます。
たとえ今はお隣に何もなくても、境界ギリギリいっぱいに建物ができるかもしれない、
という考えでしょう。
部屋の大きさに見合った窓の大きさを確保する必要があり、
実際、この計算がNGだったりギリギリというような部屋は、体感的にも暗く感じます。
楽々クリアが、一般的な明るさ。と覚えておくといいでしょう。
平屋の家は採光で言うととても不利で、
どこかに坪庭かトップライトを設置するなどの必要が出てきがちです。

しかし、明るいだけがいいとも限りません。
日本人の文化として闇を楽しむところもあり、(谷崎潤一郎著、陰翳礼讃)
一様に明るいよりも、暗さを楽しむ部分があってもいいのかもしれませんね。

 

 

通風

 

こちらも、誰でも体感してきたでしょう。
時折、部屋を抜ける風はとても心地よく感じます。
エアコンの涼しさもいいのですが、やはり時折吹く天然の風は心も和みます。
こちらも、建築基準法では「換気」という項目で窓の大きさが決められています。
前述した採光はガラスが閉じていてもOKだけれどこちらは開かないといけなく、
(そんなことわかりますよね(笑))、実際に開く面積が定められています。
環境工学的に言うと、対面する窓よりも側面にある窓の方が通風量が高いと教わります。
空気圧の差がその方が大きくなるためだとか、
しかし、空気が滞る箇所ができてしまうことに注意が必要です。
また、換気窓に高低差があると無風状態でも空気が流れると教わります。
(実感はいまいちできないのですが)

その土地、その場所で特有の風の入り方などもあります。
広いところから狭いところを通る風の流れは、強くなりがちなど。
風の通り道となる部分も現れます。
廊下に寝転がるネコはよく心得ているのです(笑)

 

排煙

 

こちらは、一般住宅では耳なじみがないでしょう。
住宅には法的には求められてはいないのだけど、大切な考えです。
いざ火事になった時、煙を逃がすのも窓の役割ということです。
少し違う話ですが、一般住宅で火を使うところでは仕上げ材を準不燃材以上にしなければなりません。全部をそうしたくないときは、垂れ壁を設けることで部分適用に切り替わります。
たれ壁をつけないときは部屋全体を、準不燃材料で仕上げてね、ということになっています。
最近のクロスは優秀で、ほとんどのものは準不燃材として商品化されています。
しかし、木材などの天然物を壁・天井に使うことができなくなってしまうのです。(最上階は別)

住宅以外の建物では、面積に対して排煙するために有効な天井付近の窓の大きさや種類が、
厳しく決められています。
窓が設けられない場合は機械で煙を排出する設備を設置します。

 

ここまでの、採光・換気・排煙はワンセットで法で定められていて、
設計段階で各部屋の窓の面積を決めているのです。
安易に「現場で変更しました」となると、「え~!」となります(笑)
大きくなる分にはいいのだけれど。

 

避難・通行

 

窓には人の出入りという考えもあります。
特に、バリアフリーや避難の考えです。
バリアフリーで言うと、寝室には掃き出し窓があるほうがよく、
将来体に障害を抱えた場合、玄関まで行くより寝室窓から出入りできるようにする方が
体への負担も少なくなるからです。
避難に関しては、住宅以外の3階建ての2階以上には出入りできるバルコニーが推奨されています。
窓の高さや大きさも決められていて、人が乗り越えられる窓下の高さも決められています。
はしご車での救護を想定しているためです。
消防士が侵入することができるようにガラスの仕様も決められています。
実はこれ、防犯と相反するので悩ましいところでもあるのです。
火事の際に、2階から降りられるよう考えることも必要ともいわれますが、
やはり防犯的には少し怖い気がします。
次に逃げるためのルートも確保しなければなりません。
そのあたりも、きっちり定められています。

 

 

防犯

今までに上げた窓の特性を、十分活かすとなると、やはり防犯性が下がってきてしまいます。
大きくする方が有利になるのですが、その分誰でも侵入しやすくなる。
それで、安易に面格子を窓に取り付ける、という選択肢になってしまうのですが・・・。
有名な建築家の吉村順三さんは、面格子を嫌っていました。
その代わりに、侵入されそうな窓の付近にはとげのある植物を植えたと聞きます。
戦国武将も生垣にとげのあるウコギを植えることを奨励したとか。(食べられるし。)
バラなどを窓の近くに植えるのもいいかもしれません。(手入れができれば)

空き巣の気持ちになると、人目に付かない窓から侵入したいと思うものです。
なので人目に付くような窓は大丈夫。(言い切れないけど)
侵入しやすい窓のあたりには、足音が鳴るように砂利を敷くのもいいでしょう。
玄関も、あからさまに丸見えは少し恥ずかしいのですが、
人の出入りはわかるような作りの方が、防犯上はいいのだと思います。

ダミーのセキュリティーのシールや防犯カメラも有効かもしれませんね。
インターホンも簡単に取り付けられるようになりました。
今ではスマホで確認できるものも!便利な時代です。

窓に求められる熱のはなし

 

今は高気密高断熱が家に求められています。
壁や屋根、床は断熱材を用いることで断熱性能を上げることが比較的容易ですが、
窓はどうしても弱点になってきてしまいます。
諸外国に比べて、日本の窓のレベルは劣っていました。
日本人の認識が低かったためです。
しかし、近年、性能はどんどん良くなってきています。
そして、地域にあった窓の種類を選ぶ必要もあります。
太陽光を遮断する方がいいのか、取り入れるほうがいいのか?
窓の向きによっても変わってきます。
南側の窓につい、実は夏には光が当たる時間がどの方向よりも少ないんです。
日差しをよけるのであれば東と西。九州であれば、北も少し考慮してもいいかもしれません。
逆に光を取り入れたい冬には、南の窓が一番光が当たる時間が長い。
熱いからと南の窓に簡単に日射遮熱性能の高い窓を使うより、
春と秋に南面の窓から入る日差しを調節する工夫を考えるとのいいかもしれません。

 

 

眺め

 

そして一番私が好きなのが、窓からの眺めです。
風景を切り取るような窓がほしい。
プライバシーを重視して、型ガラス(曇りガラス)を多用するのはもったいない。
外から人影がちらりと見えるくらいは良いのでは?と思うのですがいかがでしょう?
眺めを楽しめるくらいの心の余裕を持ちたいと常々思っています。
ほっと一息ついたときに、窓に目をやると何がみえると和むでしょう。
などと常々考えるのです。

 

窓。ノスタルジー

 

北海道出身の私の子供の時代の窓を思い起こすと、
一応は2重窓ではありましたが、隙間から雪が入り込む始末でした。
引違窓の中央の重なる部分に、ねじ式のカギがあり差し込んでグルグル止付ける仕組みのもので、
ガラスも薄く、風が吹けばガタガタと音を立てるような窓です。
冬は内側からビニールで覆って漏気を防いだりしていました。
とても、懐かしく思います。

 

それに比べ、今の住宅のなんと高性能なことでしょう(笑)
高性能過ぎると季節を体感できないという人もいます。
確かに、厳しい自然と対峙するような、そんな感覚も大切である気もします。
でも、それは屋外で味わいたい。あまりに厳しい中では季節も楽しめない(笑)

 

家は、ほっとできる安全な場所であってほしい。そう思っています。

 




子供部屋につてい

かつてより、子供部屋についてはいろいろ論争がある。
戦前、まだ子供部屋の考えは一部の裕福層のみで、
多くの家に子供部屋はなく居間をいろんな形で活用していた。
食事や勉強をし、夜にはちゃぶ台を片付けて寝室にも使っていた。
その後、「寝食分離」の考えが一般化し寝室が別に用意されたが、まだ子供部屋が与えられるにいたらず、子供部屋が当たり前になったのは、高度成長期以降だろうと言われている。
アメリカのドラマが日本でも放送され、西洋の文化にあこがれをもった日本人は、どんどん家を大きくしてきた。
「うなぎの寝床」「ウサギ小屋」と揶揄された日本の住宅を恥じてのことだったのかもしれない。

その当時、玄関ホールに階段があり、2階に子供部屋がある家が多かった。
小さく仕切ることで温熱環境の管理もしやすくプライバシーを守るには最適だ。
逆にふすまで仕切られるだけの間仕切りを「気配を感じることができていい」という論調もあった。
その後、子供が「茶の間も通らずに部屋にこもる」や「来客に挨拶もせずに子供部屋へ行ってしまう」などの躾に不都合との声から、居間を通らないと子供部屋へはいけないように、との要望が増えた。(今も)
最近は、勉強は居間で行った方がいいなど、子供部屋の存在自体が議論されている。

大切なのは、なぜ子供部屋が必要なのか?ということだろう。

自我の目覚めと自立の為に必要なのか?
勉強に集中する環境を用意するために必要なのか?
大人がプライバシーを守るために必要なのか?(←これ、とっても大切だと私は思う)


子供部屋を与える前に、本人も交えて話し合うといいのだとも思う。
子供の性格も様々、一人になる時間が欲しい子もいれば、
子供部屋をほとんど使わない子もいる。
親としての考えも様々で、ある程度管理できる状況にしておきたい親御さんいれば、子供の自主性に重きを置く親御さんもいる。

自立心を養いたいのであれば、一緒に話し合い、子供部屋の活用の仕方を本人に決めさせるのもいいと思う。
ある程度の広さも確保し、自分の物を管理させるように収納も用意する。

子供部屋を勉強部屋とするなら、集中できる環境を用意してあげるといい。
音はなるべくさえぎることができるようにし、できれば緑が視界に入るといい。インテリアには青色を取り入れることで気持ちが落ち着くし、集中力が増す。

部屋の目的が休息となるなら、暖色系やピンク、または木材の使用もいいと思う。

いずれにせよ、家族のコミュニケーションのあり方が重要で、大人の都合で考え子供部屋を与えるだけではなく、子供部屋の使い方や約束をお互いに話し合うのがいいのかもしれない。

子育てや親の在り方に正解はない。
これは私のただのおもいとして。


古来は「子供」という概念すらなかったらしい。
中国では官僚を育成することで「お家」が栄えるので、古来から教育に重きが置かれていたようだが、多くの国は「子供」はただの弱くて小さい人で、農耕の働き手として扱われていたそうだ。
亡くなってしまう子が多かったからか愛情をもって接するもの、という考えは意外と近年に生まれたという。
愛情を注ぐべき存在となったのは、啓蒙主義が持ち上がったころのよう。
日本では西洋の文化を取り入れ始めた、明治以降ということになる。
「お家」と「家庭」や「家族」を区別するようになったのも、明治以降のようだ。
このころから、各家族が増えていくことになる。

などなど、今の常識は、以外にも時代と場所が変われば非常識ということになる。
失敗を恐れて、常識的な家になりがちだけど、常識に惑わされず自由でいいのでは、と常々思う。
とはいえ、自分の家ではないのでなかなか冒険もしないのだけど(笑)

家の大切な役割、基本は命を守ること。そして育む場だとも思っている。
人格形成にとって最良の場であってほしい。


中古住宅を買うという選択

ウッドショックの余波は今も続いています。
そろそろコロナの影響も落ち着くかと思ったやさき、戦争の勃発で世界経済は再度昏迷状態になってしまいました。
グローバルな時代になって便利になった分、影響はすぐに世界にも及ぶとを実感しました。

建築の坪単価は高騰し続けています。
収入は上がらないのに物価は上がるし、税金も上がる。
夢のマイホームは夢のまた夢なのか・・・・。
でも愚痴は言わずになんとかしましょ!(と、商業的な回答ですね。)

中古物件を買って工事をするという選択肢はどうなのか?
実は中古物件の価格も上がってきています。
低価格で立地条件が合う物件に巡り合うことができるかどうか。
めぐり合わせしだいでしょう(こんな回答は、もともこもないですね。)
もう、それは恋愛のような「出会い」なのかもしれません。
肉親から建物を譲り受けるのであれば、違ってきます。
しかし、そうであってもフルリノベーションとなると、やはりお金はかかるもの。
基礎、外壁、屋根に手を入れなければならない物件であれば、
安く買える住宅並みになるかもしれません。
どこまでの性能を求めるか!でも工事価格も違ってきます、が
できれば性能をアップさせたい。
減築が一番いいとは思っているのですが、解体費もバカになりません。
そこで、減築せずに性能を上げる部分を限定することも勧めたりします。

長期優良住宅へとリノベーションすると補助金があります。
が、しかしハードル高めです。設計委事務所が頑張らなければいけない分野です。
今年の10月より、その基準も変わってきます。
現在、すでに高性能な住宅のリノベーションにとっては有利になるようです。

立地条件のいい物件は、価格も思いのほか高くなります。
どこで妥協するか?
自分が一戸建てを求めようと思った理由に立ち返りつつ
進めるのがいいと思っています。

先日、知人と雑談していて
「日本も欧米のように建物に手を入れてレベルアップして販売するようになればいいのに」
と言うのを聞いてちょっと嬉しくなりました。
本当にその通り!と。少し前にはそう言ってくれる人もいなかったからです。
なぜか日本人は中古を嫌います。
平安時代の都の遷都も、中古を嫌う日本人気質から来ているような気がします。
(私の勝手な解釈です)
しかし今回の物価高騰で、皆さんの意識も少しずつ変わるかもしれません。

余談ですが、中古車の価格も上がってきていて、外車は購入できないそうです。
なので中古の外車の買い取り額は高くなっているのでは?と思い
お世話になっている修理工場の方に聞いてみると、逆に下がってきているそうです。
今後メンテナンスに費用と時間がかかるようになるからでしょうか。

世界状勢からの物価高騰もさることながら、
食糧難も危ぶまれています。(不安をあおる気はないのですが)
自然豊かな日本を大切にする時が来たのだと感じています。
今あるものを大切にする時代。
まさにその時なのです。開発して宅地を広げるより農地や山林を温存したい!

皆が地球環境に愛着を持って接することで、世界は少しずつ改善すると思っています。
小さな一歩から。
ハチドリの一滴のように。

よい家は欲張らない

住宅の計画は欲張っても、総合的に見て良い結果にはならない。と思っている。 欲張る、というのは要望をたくさん盛り込むというとこ。 以前も書いたことがある。 建物の計画をすすめていくと、どんどん欲が出て、どんどん面積が増えて不格好な建物になっていく。当初の計画はシンプルで無駄がなかったのに、だ。多くの欲(原因)は「利便性の追求」「収納の量」「個室の数(あるいは広さ)」などだ。打ち合わせを重ねる度に建物の形がいびつになり、そして、建設費は増えていく。 今後の生活で何を重視するのか?という「コンセプト」がブレてしまい、迷いながら計画を進めるためだと思う。情報過多の現代では、細かい情報にあふれている。失敗したくないと思うあまり、あれもこれもと要望をモリモリに盛り込んでいては、どうしてもあちこちにしわ寄せができてしまう。 かたちの「イビツ」さは、「恰好の悪さ」だけの問題ではない。 構造強度にとっても不利になる。 建築費が増え経済的にも余裕がなくなる。 水じまいだって悪くなるかもしれない。 大きくなってしまった分、敷地の余白が減ってしまい光や風通しが悪くなる。 そうならないためには、計画を少しずつの手直しするよりも、息詰まったら再度、新たに考え直すことが必要かもしれない。改めて「この建物に大切なもの(こと)は何なのか?」「どうして、建てようと思ったのか?」に立ち返ることが大切だ。 何事でもそうだと思う。何かに没頭した後には俯瞰する。それを行き来することが大切で時にはリセットが必要になるはず。そこは手を抜かずやり直さなければいけないと思っている。 建物に関して、人の行動やモノの増え方を予測することもある程度は必要だけれど、人間には適応力があるはず。とおい未来を予測してもその通りに変化するとは限らない。どこまで心配してもきりがないのだ。それより「建てる意味」を忘れないようにすべきだと思っている。楽をしようとする気持ちもほどほどに、計画には柔軟性を持たせることで、経済的にも余裕が生まれ生活も豊かになるはずだ。 すべてにおいて、感じることだが、 不安や不便さを受け入れることが今後の世界の重要なキーワードだと思っている。 人間は効率重視の世界につかれてきている。「ムダ」が大切な時代がはじまっている気がしていて、そして「ムダ」は「幸福」や「豊かさ」につながっている気がしてならない。

楽をするための工夫より環境からいただける豊かさが大事だと思っている。

見た目

「女性建築家だから、女性の立場で設計できるでしょう。」とよく言われる。
きっと、家事を全くしない男性よりは「女性の立場」に立てるのかもしれない。
けれど、好みや価値観は星の数ほどたくさんあって、
簡単にステレオタイプに語れないのが女性だ。
一筋縄にはいかない。
女性は一か月のホルモン周期で人格が変わるとも聞くし自分でもそう感じたりもする。
女性のことをひとくくりにできるなんて思えないし、
「女性の味方です!」などと軽々しくも言えない。(敵ではないけどね。)
元来、自分を人に決めつけられるのが嫌な性分のせいもあって、
「女性」性を武器にすることに抵抗を感じていた。
けれど最近、死ぬ前に女性であることを楽しもうかな~、
などと遅ればせながら思うようになった。
もう少し早くこの思いが「発動」していたら人生が変わったかもと感じることが最近多い。
見た目が変わると人はこうも対応が変わるのかと感じてしまう。
 

そういえば若い時には、多少はチヤホヤされもした。
若さゆえのことだろうと高を括った、ひねくれた若い娘だった。

きっと表面より中身を見てもらいたい思いが強かったせいだろう。(自身もないくせに)
その後、結婚・出産でふっくらとなり、
とあることで一か月入院して筋力がなくなったせいかドンとふとりだし
飽和状態と思えるまで太りに太った(笑)
そのころ、太ってみて感じたのは人が私に対してとてもフランクに接してくれることだった。
いじられたり馬鹿にされたりするのも面白く思え、そのことで気も楽になって、
見た目度外視で真の人として扱ってもらえている気もした。

それはそれで幸せだった気がする。
でも、さすがに体調がすぐれなくなって数年前からジムに通い、
アルコールもほどほどにして、

ここ数年は体重も出産後のふっくら?くらいにもどった。

 

 

それでも、ショートカットのボサボサ頭で女性を捨てていたのだけど。
昨年から、そんな自分にも飽きてきた(笑)
きっかけは着物を着るために髪でも伸ばそうかと縮毛パーマをかけたことに始まる。
それだけのことで、人の見る目が変わることに気が付いた。
きっと普通は10代20代で気づくだろうことに、不覚にも50代で気づくという(笑)。

 

きっと私たちは見たもので気持ちを動かされてしまうのだろう。
身の回りにたたずむモノたちに気持ちを動かされてしまう。
好きなものに包まれていればテンションも上がる。
見た目だけではない。モノから発する何かがある気もする。
オーラなのか、気配なのか、実際放出される熱なのか、湿度なのか、匂いなのか。
何かしら伝わってくるものがある。知らず知らずに五感で感じ取ってしまうものが。

 

建物の素材は、面積が広い分きっと顕著に感じられる。
キラキラゴージャスもテンションが上がっていい。
けれどできればそれは外出先で楽しみたい。
ゆっくり休むには天然のものに包まれるのがいい。
人間の歴史的にも自然なことだからだろうなと思う。
あくまで、「個人の感想です」が。

 

自分も誰かに影響を与えてしまう存在であるなら、
少しはきれいでいて気分よく過ごしてもらわねば(笑)
まだまだ、手抜きが多いけどもう少し女性に帰れるよう努力しようかな。
女性建築家!って胸を張って言えるまで。(でもやっぱりちょっと面倒かな)

住環境を変えたいと思ったら

さて、何を書こうかと思い「何が知りたい?」と知人に聞いてみたところ、

住宅取得までの流れを知りたいとの回答だったので、

ここで初心に戻り一から書いてみます。

 

今の生活を変えたい。そう思って住宅購入などを考えたはずですが、

まず、どうしてそう思ったか「理由」を整理してみてください。

・家族が増えるから

・音や隣家への気遣いにつかれたから。

・賃貸の費用がもったいないから。

・資産形成

・老後の不安

・ペットと暮らしたい

などなど、さまざまです。

冷静に考えるためにも、自分たちの初めの「理由」を覚えておくことは重要です。

家族で話合いの過程もわかりますし、感情に流されないためにも書き留めておくことをお勧めします。

冷静な判断のためにも、「理由」に引き続きネガティブな「リスク」も書き留めておくことをお勧めします。

(普通の営業はこんなこと言わずに、明るい未来イメージのみで、自社をお勧めするところですが(笑))

「リスク」が全くない選択は存在しないと思いますが、そのリスクを受け入れる覚悟ができますし、

「リスク」に対しての対処法も先に考えておくことが大切です。

受け止める心の準備ができるからです。

また、あきらめる基準も前もって決めておくこともおすすめします。

では次に、住生活を変えるために、考えられる選択肢としてあげていきます。

・別の賃貸へ引っ越す

・マンションを購入する(中古・新築)

・一戸建てを購入する(新築する)(中古・新築・建売)

・現在の住まいをリフォーム。あるいは建て替える。

 

これらが、選択肢に上がってくるはずです。

先ほど考えた「理由」や自分の暮らしと照らし合わせながら、これらを比較します。

その際、今後予想される生活の変化などに対応できるか?(お子さんの進学など)費用は?

ローンを組む場合の返済額は?それ以外にかかる費用は?(税金など)

など、時間の経過とかかるお金の検討も忘れずに。

次に、情報が必要です。

ネット社会になりましたし、情報収集はたやすくなりました。

しかし、何が正しくて何が間違えか見極めるのは難しいですね。

なんとなく自分がどうすべきか見えてくるとは思いますが、

まだまだ簡単に決定はしないでください。

ここから、実際に不動産会社、建設会社との相談へと流れていきますが比較検討は大切です。

 

可能性のある選択肢の中で数社にアプローチします。

金銭面で、借入の必要がありましたらこの段階で銀行へ相談に出向いたり、

FP(ファイナンシャルプランナー)へ相談したりします。

現状の把握、今後の資金計画に知恵を貸してくれます。

また、この後、各社の営業が必死にアプローチしてくることでしょう(笑)

その時、先ほどの「理由」「リスク」が役に立ちます。

銀行・FPにしろ、各社の営業にしろ、工事推進派であることは間違いないはず(笑)

冷静な判断が必要なところです。

ここまで、ざっくりしたアドバイスでした。

では、いざ「工事」を行うことにした場合へと進みます。

 

工事を頼む時の選択肢として

 

・知り合いの大工さんに頼む

・お気に入りの工務店に頼む

・設計事務所に頼む

・ハウスメーカーに頼む

 

などが考えられます。

それぞれについて、考えてみます。

 

 

・知り合いの大工さんに頼む

利点としては知り合いなので、そうそう手を抜かないこと。

好意で何とか安く上げようしてくれることでしょう。

多くの場合、最初の計画もざっくりとしたもので、着工していきます。

大工さんに頼んだ利点として、現場で変更を聞いてくれる。と考えますよね。

しかし、実はこれは危険です(笑)。知らぬ間に違法建築物になってしまったり、構造的に問題が出てきたりしてしまいます。

最近の大工さんはモラルも上がって、キチンと設計士に相談してくださる方が増えました。

(つまり、設計士もかかわっているばあいがほとんどです)

また、このような現場の変更が増えると、工事後に追加請求を申し出されることもあります。

気持ちよく工事を終えたいので、お互いコスト面での気遣いは大切です。

 

 

・お気に入りの工務店に頼む

工務店さんも、親身になって要望を聞いてくれます。

「施主と一緒に作り上げていく」という感じです。

見積もりもざっくりしたものではなく、細かく拾い上げているので工事後の追加請求もあまりないと思います。

計画もイメージがつきやすいパース(写真のようなイメージ図)で示してもらえることがほとんどです。

最近の工務店さんは勉強熱心です。コンプライアンスや、気密断熱はもう必須です。

営業の方の人柄も大切です。

工務店さん独自のポリシーや独自性を比較して検討するのもいいでしょう。

 

 

これじゃ、設計事務所に出る幕ないなと思ってしまいます(笑)

でも、負けずに設計事務所の利点を説明しますね。

 

・設計事務所に頼む、

では設計事務所に頼む場合の利点を再度説明します。

工事金額と設計料は、別々の支払いになります。高くつくと思われますよね。

実は工事金額が工務店さんに直接頼むより安くなります。

これから、その理由をのべますね。

1、新築の場合、そもそも工務店さんの見積もりの中に、設計料は含まれています。

管理料の中に含まれて明細には出てきてないかもしれませんが、どの現場でも設計士の関与が必要だからです。

2、設計士は図面をたくさん用意します。事前に細かく決めていきます。

図面をたくさん用意し細かいところまで指定した場合、下請け業者から上がってくる見積もりも安くなります。

漠然と「坪○○の一軒家で見積もって」と言われたら、

「細かいところがわからないな。損をするかも。高くしておこう!」となりますよね。

それより、「この器具が何個」、「この仕上げは何㎡」、「コンセントはここに二口」と細かく指示がある場合

ごまかしが効かないからです。

3、さらに相見積もりや、入札などを行うと各社頑張ってくれるものです。

その分、仕上げや設備にこだわったることが可能だったりしますよね。

コストとは関係ありませんが他にも利点があります。

工事がきちんとできているか、第三者の目で監理を行います。

その他

手続きが面倒で安くなっている敷地なども、設計士事務所に頼むとなんとかなるかもしれませんよ。

と、手前味噌ですが、設計事務所へ頼んだ場合の利点を挙げてみました。

 

ではデメリットは?

形(デザイン)にこだわりすぎて、生活がしにくい家になることがある。

設計士の熱い思いが先行して、不必要な装飾多くなったりする。

 

少し前にこのような声を聞くこともありました。

きっと一部の設計士さんの話だと思います(笑)

・ハウスメーカーに頼む場合

ハウスメーカーは、品質も良く安心感があります。

最新のテクノロジーも組み込まれていますし、営業マンは補助金、税金控除などの知識も豊富です。

購入するのにもいろいろ考えずに、カタログやモデルハウスで確認し選択することができます。

ただ、その分お高いです(笑)。CM代、営業代にお金がかかっていますし仕方がないのです。

あまりあれこれ、考える時間がない忙しいご夫婦には、クオリティーも高いですしお勧めです。

しかし、家づくりを楽しみたい方には物足りないかもしれませんね。

そしてもう一つ、後々のリフォームが自由にできない建物も多くある点は考慮しておく必要があります。

 以上、「住生活を変えたいと思ったら」思いつくまま列挙してみました。
年を重ねるごとに変化することが億劫に感じられます。否応なしに時代は変化してしまうし、昨今はそのスピードの速さに負けてしまいそうです。

でも新しいことを始めるのは、ストレス解消にもなるらしいです。

変わらない部分を大切にしながら変化も楽しんで受け入れたいですね。

 
 島原の猪俣金物店のかき氷。

中庭の池にはカメが20匹ほど。たまに脱走もするそうです。

赤ちゃんカメも4匹誕生していましたよ。

チーム力

先日、熊本の八千代座へ歌舞伎「古典へのいざない」を見に行ってきました。

近年、友人のお陰で毎年観劇することができ、そして今年も、とても感動的な時間を過ごすことができました。

自分へのご褒美!といっても、ご褒美もらえるほどのことはしていないので(笑)

自分への慰めかもしれません。

いやいや、叱咤激励ですね。

友人には感謝するばかりです。

 

さて、今回は工事現場の話を、と思います。

建築工事は、多くのプロの職人さんがかかわって造り上げていきます。

多くの職人さんは、下請けとして作業します。

どんなに大きな会社でも、この形態はあまり変わりません。

社員として何人かの大工さんを雇用していることはありますが、

多くの職種は他の会社(または個人)に発注して、作業をしてもらいます。

 

多くの会社(個人)がかかわることになるので、工事全体を取りまとめる役の人が必要になります。

この役を担うのは、かつての日本では大工の棟梁さんでした。

しかし、現在は建設会社がこの役を専門にすることが多くなりました。

大工さんはその分作業に専念できるのです。

工事を取りまとめるためには、多くの知識と経験が必要です。

それだけではありません、常に安全面、衛生面に気を配り、作業の流れを考え、細部の作りを考え、

そしてコスト管理も行います。

(大工さんはこの辺りに気が回らず、最後に「追加請求」という形になることが多いと感じます)

「工務店の人は作業をしないで、顎で人を使って偉そうに!」

などと思ってはいけません(笑)

 

設計士はというと、このチームのゴール(完成形)を指し示すのが仕事だと思っています。

施主の気持ちを汲み取り、法に則り、衛生的で快適、安全な建築の完成形を

皆と認識できるように表現するのです。

設計士も多くの知識と経験がないと、このチームに貢献できません。

現場では、いろいろな問題が発生するものです。

そして、チーム一丸となって解決策を考えゴールを目指して作業するのです。

 

いいモノになるかは、一つのゴールに向かい、

いかに多くの職人が集中できるかにかかっている気がします。

それには、チーム力が必須です。

プロのサッカー選手のように、プロの職人さんは他のチームに入っても活躍できます。

しかし、足並みのそろわないチームメイトがいるとほころびが出てきますよね?

初めはちょっとしたミスでも、そこからズルズルといろんな事に影響が出てきてしまうものです。

結局は、人間同士の作業なのでチームの和が結構大切なのです。

 

そのチームの監督が、建築会社の現場監督(現場代理人)ですね。

選手選びも大切な監督の仕事です。

 

 

ところで試合が始まってからの設計士の仕事はというと?

設計士は、工事現場へ行くと嫌がられる存在です(笑)

設計図通りできているか、監視する役回りだからです。

試合中の、審判みたいな感じでしょうか。

嫌がられたりしながらも、それでも、監視役は必要です。

施主のため、建物の責任を負っています。

キチンと見張らなければいけません!

そこで、どうすれば現場の人から嫌がられないかと(笑)ちょっとだけ考えてみました。

きっと、完成形が素晴らしく感じられるもの。誇りに思えるような仕事になること。ではないかと。

そのためには、ちょっとくらい嫌われても素晴らしいものを目指すことが、

結果としては認めてもらえるのでしょう。

(これ、これから自分に言い聞かせよう!)

毅然とふるまう主審のように、時にはカードや退場も言い放たなければなりません!

(これは、少しオーバーですね。)

 

モノづくりおいてこの「チーム力」は共通していると、先日の歌舞伎を見ていて感じました。

多くのスタッフが、華やかな舞台の陰でせわしなく働いています。

役者さんをはじめ、その一人一人が完成した華やかな舞台を誇りに思い、

汗をかいて真剣に自分の役(仕事)をこなしています。

その姿には毎回感動させられます。

役者さんはもちろんみなさん「命をかける」「命を削っている」

いや刹那に「命は燃やしている」ようにも感じます。

八千代座は、小さな舞台なのでそんな心意気が凝縮して感じられるせいかもしれません。

 

何事にも「心意気」、大切にしたいです。

今、ブログを書きながら思いました。

住宅の寿命、人の寿命

 昨今、悲しい知らせが多く目につきます。

当たり前だった世界が大きく変わったことも一因だと感じています。

私の身の回りにも悲しい事がありました。

そして実感しました。
そんな中でも、人は眠り、食事をし、暮らしていくのだと。

そして、そんな暮らしを包み込むのは、人と家なのだと。

 最近まで日本の住宅は短命でした。

戦後、住宅不足で安価なもので早急に多くの住宅が必要で、

人口の増加、経済の成長も相まってすごい勢いで短命の住宅が増えていった為だと言われています。

反して、日本人の寿命は延びました。

長い人生、順風満帆の時ばかりではありません。

家族とうれしく楽しい時間もあれば、一人つらく悲しい時間もあるでしょう。

核家族化がすすみ、いずれ、多くの人は一人暮らしの時間を迎えます。

そんな中でも、人は建物の中で暮らしていきます。

その建物が、その人に寄り添うものであってほしい。そう、感じています。

 ソーシャルディスタンスが必要な、悲しい世の中です。

まさか、こんな世が訪れるとはだれも思っていませんでした。

そして、その影響は知らず知らずにジワジワと心に巣くってきている気がします。

リモートで会話できる世の中になりましたが、やはりリモートでは味気ない気がします。

効率のいい仕事の進め方に気づいたのと同時に、会えない寂しさにも気づかされました。

画面越しでは伝わらない、人と人の空気感がどうしたってあります。

 もうずいぶん前になりますが、不動産を営む方から言われたことがあります。

「あなたたちはいいよ、未来に向かって希望がある仕事だから」と。

その方いわく、不動産は困難に陥った方との仕事も多いのだと。

なるほど、おっしゃる通りなのかもしれません。

これから建物を建てようとしてらっしゃる方は、気力も体力も経済力あり

希望にあふれている時なのかもしれません。

でも、時は移ろいます。どんな人にも訪れるであろう人生の岐路が待っています。

始まりは終わりの始まりで、出会いは別れの始まりでもあります。

設計士は、そんな月日の移ろいも心に留めながら
これからの人生をも、包み込む、やさしい思慮深い温かい建物を

残していくことが大切だと感じています。

 

 

 

(2年前の改修工事。2階を解体してブルーシートをかけると青の世界が! ちょっと芸術を感じました)