いわずもがな、建物にとって窓はとても大切。
そんなお話です。
窓にはいろんな役割があります。 明り取りや、風通はもちろん 建築設計の視点から、窓にはいろんな役割があるのをご存じでしょうか。 今回は、そんなことも知ってもらえたらうれしいと思い記事を書きます。
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採光
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これはみなさんご存じ。想像にもたやすいはずです。 窓のない部屋は真っ暗です。窓が大きいと明るく、小さいとあまり明るくなりません。 そんなことは説明しなくてもいいですよね(笑)すみません。 では、地面に近いところの窓は高いところの窓より暗く、部屋の奥には光が届きません。 床近くの窓は、採光にはあまり役に立たないのです。 しかし落ち着いた雰囲気を演出するのにはとてもよいし、次に説明する通風にも役に立ちます。 反対に高い位置にある窓は部屋の奥にも光を届けます。 さらに型ガラス(曇りガラス)だと、光を拡散させて部屋中均一的に光を届けます。 蔭ができにくい光です。 天窓は、建築基準法上、壁に付く窓の3倍の数値を用いることができます。 実際、それくらい部屋を明るくします。 そう、部屋の採光は建築基準法で決まっているのです。 ややこしい計算方法が決められており、低い位置の窓は法的にも不利です。 また、お隣の境界近くにある窓も光が入らないとジャッジされます。 たとえ今はお隣に何もなくても、境界ギリギリいっぱいに建物ができるかもしれない、 という考えでしょう。 部屋の大きさに見合った窓の大きさを確保する必要があり、 実際、この計算がNGだったりギリギリというような部屋は、体感的にも暗く感じます。 楽々クリアが、一般的な明るさ。と覚えておくといいでしょう。 平屋の家は採光で言うととても不利で、 どこかに坪庭かトップライトを設置するなどの必要が出てきがちです。
しかし、明るいだけがいいとも限りません。 日本人の文化として闇を楽しむところもあり、(谷崎潤一郎著、陰翳礼讃) 一様に明るいよりも、暗さを楽しむ部分があってもいいのかもしれませんね。
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通風
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こちらも、誰でも体感してきたでしょう。 時折、部屋を抜ける風はとても心地よく感じます。 エアコンの涼しさもいいのですが、やはり時折吹く天然の風は心も和みます。 こちらも、建築基準法では「換気」という項目で窓の大きさが決められています。 前述した採光はガラスが閉じていてもOKだけれどこちらは開かないといけなく、 (そんなことわかりますよね(笑))、実際に開く面積が定められています。 環境工学的に言うと、対面する窓よりも側面にある窓の方が通風量が高いと教わります。 空気圧の差がその方が大きくなるためだとか、 しかし、空気が滞る箇所ができてしまうことに注意が必要です。 また、換気窓に高低差があると無風状態でも空気が流れると教わります。 (実感はいまいちできないのですが)
その土地、その場所で特有の風の入り方などもあります。 広いところから狭いところを通る風の流れは、強くなりがちなど。 風の通り道となる部分も現れます。 廊下に寝転がるネコはよく心得ているのです(笑)
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排煙
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こちらは、一般住宅では耳なじみがないでしょう。 住宅には法的には求められてはいないのだけど、大切な考えです。 いざ火事になった時、煙を逃がすのも窓の役割ということです。 少し違う話ですが、一般住宅で火を使うところでは仕上げ材を準不燃材以上にしなければなりません。全部をそうしたくないときは、垂れ壁を設けることで部分適用に切り替わります。 たれ壁をつけないときは部屋全体を、準不燃材料で仕上げてね、ということになっています。 最近のクロスは優秀で、ほとんどのものは準不燃材として商品化されています。 しかし、木材などの天然物を壁・天井に使うことができなくなってしまうのです。(最上階は別)
住宅以外の建物では、面積に対して排煙するために有効な天井付近の窓の大きさや種類が、 厳しく決められています。 窓が設けられない場合は機械で煙を排出する設備を設置します。
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ここまでの、採光・換気・排煙はワンセットで法で定められていて、 設計段階で各部屋の窓の面積を決めているのです。 安易に「現場で変更しました」となると、「え~!」となります(笑) 大きくなる分にはいいのだけれど。
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避難・通行
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窓には人の出入りという考えもあります。 特に、バリアフリーや避難の考えです。 バリアフリーで言うと、寝室には掃き出し窓があるほうがよく、 将来体に障害を抱えた場合、玄関まで行くより寝室窓から出入りできるようにする方が 体への負担も少なくなるからです。 避難に関しては、住宅以外の3階建ての2階以上には出入りできるバルコニーが推奨されています。 窓の高さや大きさも決められていて、人が乗り越えられる窓下の高さも決められています。 はしご車での救護を想定しているためです。 消防士が侵入することができるようにガラスの仕様も決められています。 実はこれ、防犯と相反するので悩ましいところでもあるのです。 火事の際に、2階から降りられるよう考えることも必要ともいわれますが、 やはり防犯的には少し怖い気がします。 次に逃げるためのルートも確保しなければなりません。 そのあたりも、きっちり定められています。
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防犯
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今までに上げた窓の特性を、十分活かすとなると、やはり防犯性が下がってきてしまいます。 大きくする方が有利になるのですが、その分誰でも侵入しやすくなる。 それで、安易に面格子を窓に取り付ける、という選択肢になってしまうのですが・・・。 有名な建築家の吉村順三さんは、面格子を嫌っていました。 その代わりに、侵入されそうな窓の付近にはとげのある植物を植えたと聞きます。 戦国武将も生垣にとげのあるウコギを植えることを奨励したとか。(食べられるし。) バラなどを窓の近くに植えるのもいいかもしれません。(手入れができれば)
空き巣の気持ちになると、人目に付かない窓から侵入したいと思うものです。 なので人目に付くような窓は大丈夫。(言い切れないけど) 侵入しやすい窓のあたりには、足音が鳴るように砂利を敷くのもいいでしょう。 玄関も、あからさまに丸見えは少し恥ずかしいのですが、 人の出入りはわかるような作りの方が、防犯上はいいのだと思います。
ダミーのセキュリティーのシールや防犯カメラも有効かもしれませんね。 インターホンも簡単に取り付けられるようになりました。 今ではスマホで確認できるものも!便利な時代です。
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窓に求められる熱のはなし
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今は高気密高断熱が家に求められています。 壁や屋根、床は断熱材を用いることで断熱性能を上げることが比較的容易ですが、 窓はどうしても弱点になってきてしまいます。 諸外国に比べて、日本の窓のレベルは劣っていました。 日本人の認識が低かったためです。 しかし、近年、性能はどんどん良くなってきています。 そして、地域にあった窓の種類を選ぶ必要もあります。 太陽光を遮断する方がいいのか、取り入れるほうがいいのか? 窓の向きによっても変わってきます。 南側の窓につい、実は夏には光が当たる時間がどの方向よりも少ないんです。 日差しをよけるのであれば東と西。九州であれば、北も少し考慮してもいいかもしれません。 逆に光を取り入れたい冬には、南の窓が一番光が当たる時間が長い。 熱いからと南の窓に簡単に日射遮熱性能の高い窓を使うより、 春と秋に南面の窓から入る日差しを調節する工夫を考えるとのいいかもしれません。
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眺め
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そして一番私が好きなのが、窓からの眺めです。 風景を切り取るような窓がほしい。 プライバシーを重視して、型ガラス(曇りガラス)を多用するのはもったいない。 外から人影がちらりと見えるくらいは良いのでは?と思うのですがいかがでしょう? 眺めを楽しめるくらいの心の余裕を持ちたいと常々思っています。 ほっと一息ついたときに、窓に目をやると何がみえると和むでしょう。 などと常々考えるのです。
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窓。ノスタルジー
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北海道出身の私の子供の時代の窓を思い起こすと、 一応は2重窓ではありましたが、隙間から雪が入り込む始末でした。 引違窓の中央の重なる部分に、ねじ式のカギがあり差し込んでグルグル止付ける仕組みのもので、 ガラスも薄く、風が吹けばガタガタと音を立てるような窓です。 冬は内側からビニールで覆って漏気を防いだりしていました。 とても、懐かしく思います。
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それに比べ、今の住宅のなんと高性能なことでしょう(笑) 高性能過ぎると季節を体感できないという人もいます。 確かに、厳しい自然と対峙するような、そんな感覚も大切である気もします。 でも、それは屋外で味わいたい。あまりに厳しい中では季節も楽しめない(笑)
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家は、ほっとできる安全な場所であってほしい。そう思っています。
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