小さな家のすすめ

絵本「ちいさいおうち」やドラマ「大草原の小さな家」が好きでした。

幼少期に山のふもとの小さい家に暮らしていたので原風景として刻まれているせいかもかもしれません。住宅の脇には、父が一から手で作った小屋があり、その周りにはサクランボの木やスモモの木が季節ごとにの実を実らせます。出入口付近にはバラが植えられて、ナマケモノの私は近道しようとして、その上で転び痛い目にあいました。ちょっとした畑の向こう側には小川が流れていて、カエルやサンショウウオの卵を採取したり、玄関先にはかご型のブランコが据え付けられていて、友達が来たらそこでおままごとしたりして遊んだりしました。ちょっと、山の中に入って遊んだり、今では考えられない環境です。

 

そんな自分の勝手な感傷を抜きにしても、小さな家にはメリットがたくさんあります。
そんなメリットを紹介できればと思っています。

住宅建築計画が始まるのは、そこで暮らす家族が多いとき、又はこれから多くなると見込まれる時点だと思います。しかし家族が多い時期は、あっという間に過ぎ去ってしまいます。現在の核家族化、少子化の宿命なのでしょう。

なので、できる限り小さな家をお勧めしたいと常日頃思っています。

小さい家にはこんなにメリットがあります。

一つづつ解説していきます。

• 日差しや風を取り込みやすい

敷地に対して、家を大きく計画すると、どうしても風の通りや日の入りが悪くなります。

最近は高断熱高気密住宅なので快適な住環境は実現できるのですが、豊かで幸せな暮らしとは少し違う気がしています。気候の良い季節には、外からの心地よい風を感じたいですし、朝の光を感じた風に揺らぐ緑を楽しむことなど、ささいなことに幸せが潜んでいる気がしてます。

さらに、建物自体にも良い影響があります。床下や外壁内部、小屋裏などの見えない部分にも通気が必要です。断熱方法にもよりますが床下や外壁小屋裏内の環境は住宅の寿命を決めるうえで重要です。できるだけ通気を良くすることで、内部の湿気を逃がし乾燥させることで建物の高寿命化につながります。湿度の高い九州ではなおのことで、建物内部の通気を良くし乾燥させることで、木は強くなりシロアリ被害の予防につながります。(シロアリは通風を嫌います)

境界ギリギリの部分は、通気が悪くなり湿気がたまりがちなのです。見えないところにも気を配りたいですね。

• インテリアを楽しむ

敷地ギリギリに窓を設けようとすると、法の採光規制が厳しくなりどうしても大きな窓が必要になります。大きな窓を設けるとどうしても壁が少なくなります。

それに比べ、敷地から建物を離して計画できると窓が小さくても日差しや風を取り込むことができ、結果壁が増え家具を配置する余白がうまれます。花を飾ったり、好みの家具を楽しんだり、絵画をかけたり。それに加え、外構に植栽があるとさらに心が豊かになることでしょう。季節も感じられ野鳥が訪れたりもします。

手入れの手間が増えますが、それも楽しいひと時となり豊かな時間となるでしょう。

インテリアとは別の話になりますが、壁が増えると、構造的にも強くなります。小さな建物は風の影響も受けにくく、耐震的にも耐風的にも有利になります。

• コストダウン

当たり前のことですが、建物が小さいとコストダウンつながります。一坪90万円とします。単純に90万だけではなく融資を受けると利息が付いてきますよね。その一坪の費用があればゴージャスな家族旅行も実現することができます。家族の思い出を増やすことができるのです。

さらにランニングコストもダウンできます。空調などの電気代はどうしても建物の大きさに依存します。固定資産税も大きさに付随して金額が上がります。

 

• メンテナンスが楽に

広い家を良好に保つには、それなりにお金も時間も必要になります。

掃除一つをとっても、簡単に想像できるでしょう。

小さい家は時間も短縮することができます。

長期で考えると外壁、屋根のメンテナンスや床下のシロアリ点検、配管の点検メンテナンスなども建物が小さいと費用が少なくすむでしょう。

建物を長期で大切にしていくには大切なことです。

また、建物が広いと空気がよどむ箇所が産まれやすく、そこから木材が傷んでくることがよくあります。

また、建物が大きいと、日差しが届かない箇所も生まれやすく、暗い場所は汚れが目立たず、掃除されにくくなったりもします。(暗い場所があるのは、個人的には好きなのですが)

 

• 庭を楽しむ

人間、土に触れなければならないと常日頃思っています。土というより「自然に」でしょうか。

話はそれますが、最近時間管理の話を聞きました。

効率的に何かしようとすると焦燥感にかられて忙しく感じられる。そのわりに効率的な作業とならない。やらないことを決める方が重要で、さらに、無駄を楽しむ心の余裕を持つことが、生きた時間の使い方につながるのだということです。この話以外にも、そのようなことが書かれた書籍も多数あったなと思い返しました。

つまり、効率重視より余白を作ることが大切なんですね。

  土や海、自然に触れる時間はまさしくそれだと思っています。海草を採取するお手伝いをしながら、漁師のお嫁さんにお話を聞く機会がありました。「結婚生活いろいろあったけどこの(採取する)作業が癒しになっていた」と伺いました。お手伝いしながら確かに、一心に没頭し作業することは心が落ち着くと実感したのを覚えています。

庭の手入れを苦に思う方も多いのですが、一心に草を取る作業も、心が癒すことになるのかも?ならなかったらすみません(笑)

•家族との距離感が近くなる

家が小さいと、家族の気配が伝わりやすものです。

「おーい」といえば声も届くのも便利です(笑)

人間同士の意思伝達は言葉やジェスチャーだけではない気がしています。それは、気配とか、オーラとか、電磁波、素粒子なのかもしれません?スピリチュアルなことなどはわからないのですが、確かに同じに空間にいないと伝わらないことがあることを、コロナ禍で感じた人も多いはずです。

  時にわずらわしく感じる家族間ですが、物理的に離れられないような環境下であれば何かしらの解決策も生まれるものなのかもしれません。(時には逃げられるスペースがあるとなお良いのかもと思いつつ)

• 無駄なものが増えない

よくお聞きするのが収納をもっと増やしたいとの声です。

 

収納を増やしたい気持ち、よ~くわかります。しかし、その収納されているものたちは本当に必要とされているものでしょうか?収納スペースがあるばかりに、不必要なものが増えてしまうような気がしませんか。(我が家にも開かずの収納スペースがあるので自戒込めて。)

 

セオリーだからと安易に収納スペースを作るより、必要に応じた生きた収納計画が必要です。

 

大切な思い出の品を収納するスペースを確保しつつ、日常使いのものは循環して活用されるような収納計画が必要だと考えています。

• 狭さを感じさせない工夫もある

そうは言っても、狭苦しい感覚にストレスに感じながら暮らすのは嫌なものです。

狭苦しさを感じるのは、やはり動線が狭いときや、視界がごちゃついて見えている時ではないでしょうか。そう感じないような工夫が必要で、これらをクリアするのは作る側の、私たちの責任なのでしょ

いろんなことを我慢するだけではなく、この世に一つの自分の家です。気分のが上がる部分は大切にしたいものです。

施主に、ものを増やさないでメンテナンスをまめに行うことができる心の余裕を持っていただくためにも、経済的・時間的な余裕が生まれる小さな家は、理想的なのです。

建物だけではなく、出会った方々には幸せになってほしい。
「ぐるり」(周囲)の幸せを願う、ぐるり設計室です。

窓の役割

いわずもがな、建物にとって窓はとても大切。
そんなお話です。

 

知ってる?窓って大切


窓にはいろんな役割があります。
明り取りや、風通はもちろん
建築設計の視点から、窓にはいろんな役割があるのをご存じでしょうか。
今回は、そんなことも知ってもらえたらうれしいと思い記事を書きます。

 

採光

 

これはみなさんご存じ。想像にもたやすいはずです。
窓のない部屋は真っ暗です。窓が大きいと明るく、小さいとあまり明るくなりません。
そんなことは説明しなくてもいいですよね(笑)すみません。
では、地面に近いところの窓は高いところの窓より暗く、部屋の奥には光が届きません。
床近くの窓は、採光にはあまり役に立たないのです。
しかし落ち着いた雰囲気を演出するのにはとてもよいし、次に説明する通風にも役に立ちます。
反対に高い位置にある窓は部屋の奥にも光を届けます。
さらに型ガラス(曇りガラス)だと、光を拡散させて部屋中均一的に光を届けます。
蔭ができにくい光です。
天窓は、建築基準法上、壁に付く窓の3倍の数値を用いることができます。
実際、それくらい部屋を明るくします。
そう、部屋の採光は建築基準法で決まっているのです。
ややこしい計算方法が決められており、低い位置の窓は法的にも不利です。
また、お隣の境界近くにある窓も光が入らないとジャッジされます。
たとえ今はお隣に何もなくても、境界ギリギリいっぱいに建物ができるかもしれない、
という考えでしょう。
部屋の大きさに見合った窓の大きさを確保する必要があり、
実際、この計算がNGだったりギリギリというような部屋は、体感的にも暗く感じます。
楽々クリアが、一般的な明るさ。と覚えておくといいでしょう。
平屋の家は採光で言うととても不利で、
どこかに坪庭かトップライトを設置するなどの必要が出てきがちです。

しかし、明るいだけがいいとも限りません。
日本人の文化として闇を楽しむところもあり、(谷崎潤一郎著、陰翳礼讃)
一様に明るいよりも、暗さを楽しむ部分があってもいいのかもしれませんね。

 

 

通風

 

こちらも、誰でも体感してきたでしょう。
時折、部屋を抜ける風はとても心地よく感じます。
エアコンの涼しさもいいのですが、やはり時折吹く天然の風は心も和みます。
こちらも、建築基準法では「換気」という項目で窓の大きさが決められています。
前述した採光はガラスが閉じていてもOKだけれどこちらは開かないといけなく、
(そんなことわかりますよね(笑))、実際に開く面積が定められています。
環境工学的に言うと、対面する窓よりも側面にある窓の方が通風量が高いと教わります。
空気圧の差がその方が大きくなるためだとか、
しかし、空気が滞る箇所ができてしまうことに注意が必要です。
また、換気窓に高低差があると無風状態でも空気が流れると教わります。
(実感はいまいちできないのですが)

その土地、その場所で特有の風の入り方などもあります。
広いところから狭いところを通る風の流れは、強くなりがちなど。
風の通り道となる部分も現れます。
廊下に寝転がるネコはよく心得ているのです(笑)

 

排煙

 

こちらは、一般住宅では耳なじみがないでしょう。
住宅には法的には求められてはいないのだけど、大切な考えです。
いざ火事になった時、煙を逃がすのも窓の役割ということです。
少し違う話ですが、一般住宅で火を使うところでは仕上げ材を準不燃材以上にしなければなりません。全部をそうしたくないときは、垂れ壁を設けることで部分適用に切り替わります。
たれ壁をつけないときは部屋全体を、準不燃材料で仕上げてね、ということになっています。
最近のクロスは優秀で、ほとんどのものは準不燃材として商品化されています。
しかし、木材などの天然物を壁・天井に使うことができなくなってしまうのです。(最上階は別)

住宅以外の建物では、面積に対して排煙するために有効な天井付近の窓の大きさや種類が、
厳しく決められています。
窓が設けられない場合は機械で煙を排出する設備を設置します。

 

ここまでの、採光・換気・排煙はワンセットで法で定められていて、
設計段階で各部屋の窓の面積を決めているのです。
安易に「現場で変更しました」となると、「え~!」となります(笑)
大きくなる分にはいいのだけれど。

 

避難・通行

 

窓には人の出入りという考えもあります。
特に、バリアフリーや避難の考えです。
バリアフリーで言うと、寝室には掃き出し窓があるほうがよく、
将来体に障害を抱えた場合、玄関まで行くより寝室窓から出入りできるようにする方が
体への負担も少なくなるからです。
避難に関しては、住宅以外の3階建ての2階以上には出入りできるバルコニーが推奨されています。
窓の高さや大きさも決められていて、人が乗り越えられる窓下の高さも決められています。
はしご車での救護を想定しているためです。
消防士が侵入することができるようにガラスの仕様も決められています。
実はこれ、防犯と相反するので悩ましいところでもあるのです。
火事の際に、2階から降りられるよう考えることも必要ともいわれますが、
やはり防犯的には少し怖い気がします。
次に逃げるためのルートも確保しなければなりません。
そのあたりも、きっちり定められています。

 

 

防犯

今までに上げた窓の特性を、十分活かすとなると、やはり防犯性が下がってきてしまいます。
大きくする方が有利になるのですが、その分誰でも侵入しやすくなる。
それで、安易に面格子を窓に取り付ける、という選択肢になってしまうのですが・・・。
有名な建築家の吉村順三さんは、面格子を嫌っていました。
その代わりに、侵入されそうな窓の付近にはとげのある植物を植えたと聞きます。
戦国武将も生垣にとげのあるウコギを植えることを奨励したとか。(食べられるし。)
バラなどを窓の近くに植えるのもいいかもしれません。(手入れができれば)

空き巣の気持ちになると、人目に付かない窓から侵入したいと思うものです。
なので人目に付くような窓は大丈夫。(言い切れないけど)
侵入しやすい窓のあたりには、足音が鳴るように砂利を敷くのもいいでしょう。
玄関も、あからさまに丸見えは少し恥ずかしいのですが、
人の出入りはわかるような作りの方が、防犯上はいいのだと思います。

ダミーのセキュリティーのシールや防犯カメラも有効かもしれませんね。
インターホンも簡単に取り付けられるようになりました。
今ではスマホで確認できるものも!便利な時代です。

窓に求められる熱のはなし

 

今は高気密高断熱が家に求められています。
壁や屋根、床は断熱材を用いることで断熱性能を上げることが比較的容易ですが、
窓はどうしても弱点になってきてしまいます。
諸外国に比べて、日本の窓のレベルは劣っていました。
日本人の認識が低かったためです。
しかし、近年、性能はどんどん良くなってきています。
そして、地域にあった窓の種類を選ぶ必要もあります。
太陽光を遮断する方がいいのか、取り入れるほうがいいのか?
窓の向きによっても変わってきます。
南側の窓につい、実は夏には光が当たる時間がどの方向よりも少ないんです。
日差しをよけるのであれば東と西。九州であれば、北も少し考慮してもいいかもしれません。
逆に光を取り入れたい冬には、南の窓が一番光が当たる時間が長い。
熱いからと南の窓に簡単に日射遮熱性能の高い窓を使うより、
春と秋に南面の窓から入る日差しを調節する工夫を考えるとのいいかもしれません。

 

 

眺め

 

そして一番私が好きなのが、窓からの眺めです。
風景を切り取るような窓がほしい。
プライバシーを重視して、型ガラス(曇りガラス)を多用するのはもったいない。
外から人影がちらりと見えるくらいは良いのでは?と思うのですがいかがでしょう?
眺めを楽しめるくらいの心の余裕を持ちたいと常々思っています。
ほっと一息ついたときに、窓に目をやると何がみえると和むでしょう。
などと常々考えるのです。

 

窓。ノスタルジー

 

北海道出身の私の子供の時代の窓を思い起こすと、
一応は2重窓ではありましたが、隙間から雪が入り込む始末でした。
引違窓の中央の重なる部分に、ねじ式のカギがあり差し込んでグルグル止付ける仕組みのもので、
ガラスも薄く、風が吹けばガタガタと音を立てるような窓です。
冬は内側からビニールで覆って漏気を防いだりしていました。
とても、懐かしく思います。

 

それに比べ、今の住宅のなんと高性能なことでしょう(笑)
高性能過ぎると季節を体感できないという人もいます。
確かに、厳しい自然と対峙するような、そんな感覚も大切である気もします。
でも、それは屋外で味わいたい。あまりに厳しい中では季節も楽しめない(笑)

 

家は、ほっとできる安全な場所であってほしい。そう思っています。

 




子供部屋につてい

かつてより、子供部屋についてはいろいろ論争がある。
戦前、まだ子供部屋の考えは一部の裕福層のみで、
多くの家に子供部屋はなく居間をいろんな形で活用していた。
食事や勉強をし、夜にはちゃぶ台を片付けて寝室にも使っていた。
その後、「寝食分離」の考えが一般化し寝室が別に用意されたが、まだ子供部屋が与えられるにいたらず、子供部屋が当たり前になったのは、高度成長期以降だろうと言われている。
アメリカのドラマが日本でも放送され、西洋の文化にあこがれをもった日本人は、どんどん家を大きくしてきた。
「うなぎの寝床」「ウサギ小屋」と揶揄された日本の住宅を恥じてのことだったのかもしれない。

その当時、玄関ホールに階段があり、2階に子供部屋がある家が多かった。
小さく仕切ることで温熱環境の管理もしやすくプライバシーを守るには最適だ。
逆にふすまで仕切られるだけの間仕切りを「気配を感じることができていい」という論調もあった。
その後、子供が「茶の間も通らずに部屋にこもる」や「来客に挨拶もせずに子供部屋へ行ってしまう」などの躾に不都合との声から、居間を通らないと子供部屋へはいけないように、との要望が増えた。(今も)
最近は、勉強は居間で行った方がいいなど、子供部屋の存在自体が議論されている。

大切なのは、なぜ子供部屋が必要なのか?ということだろう。

自我の目覚めと自立の為に必要なのか?
勉強に集中する環境を用意するために必要なのか?
大人がプライバシーを守るために必要なのか?(←これ、とっても大切だと私は思う)


子供部屋を与える前に、本人も交えて話し合うといいのだとも思う。
子供の性格も様々、一人になる時間が欲しい子もいれば、
子供部屋をほとんど使わない子もいる。
親としての考えも様々で、ある程度管理できる状況にしておきたい親御さんいれば、子供の自主性に重きを置く親御さんもいる。

自立心を養いたいのであれば、一緒に話し合い、子供部屋の活用の仕方を本人に決めさせるのもいいと思う。
ある程度の広さも確保し、自分の物を管理させるように収納も用意する。

子供部屋を勉強部屋とするなら、集中できる環境を用意してあげるといい。
音はなるべくさえぎることができるようにし、できれば緑が視界に入るといい。インテリアには青色を取り入れることで気持ちが落ち着くし、集中力が増す。

部屋の目的が休息となるなら、暖色系やピンク、または木材の使用もいいと思う。

いずれにせよ、家族のコミュニケーションのあり方が重要で、大人の都合で考え子供部屋を与えるだけではなく、子供部屋の使い方や約束をお互いに話し合うのがいいのかもしれない。

子育てや親の在り方に正解はない。
これは私のただのおもいとして。


古来は「子供」という概念すらなかったらしい。
中国では官僚を育成することで「お家」が栄えるので、古来から教育に重きが置かれていたようだが、多くの国は「子供」はただの弱くて小さい人で、農耕の働き手として扱われていたそうだ。
亡くなってしまう子が多かったからか愛情をもって接するもの、という考えは意外と近年に生まれたという。
愛情を注ぐべき存在となったのは、啓蒙主義が持ち上がったころのよう。
日本では西洋の文化を取り入れ始めた、明治以降ということになる。
「お家」と「家庭」や「家族」を区別するようになったのも、明治以降のようだ。
このころから、各家族が増えていくことになる。

などなど、今の常識は、以外にも時代と場所が変われば非常識ということになる。
失敗を恐れて、常識的な家になりがちだけど、常識に惑わされず自由でいいのでは、と常々思う。
とはいえ、自分の家ではないのでなかなか冒険もしないのだけど(笑)

家の大切な役割、基本は命を守ること。そして育む場だとも思っている。
人格形成にとって最良の場であってほしい。


住宅に求められるもの

今年に入って毎月ポスティングしようと心に誓った。
効果はそれほどないことは知っているのだけれど、ただ単に好きだから。
いろんな通りや家を見て回るのが若いころから好きだった。
愛犬がいる頃は、散歩と称していろんなところを歩いて見て回った。
今、ただただぶらぶらしていると不審がられるのでいい口実になる。
いや、ポスティングの行為自体不審がられるし、ゴミになって迷惑かもしれない。
でも、知ってもらえないのは機会損失。(かもしれない)
以前より、ご近所だけ配布していたのを気の向くままいろんなところに足を向けようと思っている。

2月も末になり、先日慌てて配布した。
今回は共同住宅に配布しよう!とゆうことで、共同住宅が多い地域に足を向けた。
配りながら感じたことは、最近の新築共同住宅の品質の高さだ。
玄関ドアもいいものが使われていて、ポストも気密性がある。
ということは、建物自体もきっと気密性、断熱性に優れていると思われる。
省エネ基準のお陰なのかもしれない。
セキュリティーも高く、長屋(共有される廊下がないく玄関が1階にあるような建物)でできているので、
下の階に音が響くなどの気遣いも軽減できている。
これなら、一戸建てに引っ越す必要ないなぁ。などと思った。
若年層の住宅所有率は年々少なくなってきているのもうなづける。
これなら、賃貸派がふえるはず!そう思った。

しかし、きっと家賃は高いはず。
アパートを計画するとき、不動産業では回収できる年数ははじき出す。
私の知っている限り、10年で回収できるように考えることが多い。
建物が高ければ、満室率も高く結果、計算通りに回収できる!との考えかもしれない。
保証会社からの「保証するからこのレベルの建物にしないさい!」という規制が厳しいのかも。

以前より、共同住宅もレベル上げるべきと思っていたので、喜ばしいことだ。

じゃ、このまま賃貸派が増えてくる一方なのか?

いやそんなことはないと思う。仕方くなく賃貸に住まう人も少なからずいると思う。
じゃ、どんな時、どんなことで住宅が欲しいと感じるのか?
自分だったら、想像してみる。

まずは温熱問題。

省エネ基準以前の賃貸住宅は、断滅材もそれほど入っておらず窓ガラスもシングル。
夏暑く、冬寒い、窓はすぐに結露。
育ってきた家はそんなことがなかった世代は、こんなところが気になるかもしれない。

温熱環境を快適にすると健康にも効果がある。
アトピーや喘息も減るようだ。
温熱に不快を覚えている人は、ぜひとも検討してしてほしい。

次の利点として、所有欲が満たされる。
賃貸住宅には、やはり借り物という感覚がつきまとう。
その点、一戸建ては自分のものという所有欲が満たされる。(かもしれない)
私、あまり所有欲がないので想像の世界だけど。
他に、外回りや設備機器の更新も自由できることも利点だろう。

共同住宅を回っていて強く思ったのが、外回り収納がある共同住宅がないこと。
お子さんの成長に従って、外で使いたいものがでてきてしまう。
ベビーカー、外遊びのモノ、子供用自転車などなど。
きっと一時期だけのものだのだろうけど、ちょっとだけ外収納のある共同住宅があったいいのに、と感じた。

また、水回りを新しくしたくもなるかもしれない。
前の話にかぶるが、断熱効果を高める工事がしたくなるかもしれない。
自分が自由にできる家なら快適生活になる、更新工事もできる。

そして大きいのは、音問題。
一戸建てにしても環境によっては音問題があるかもしれないが、
それでも共同住宅よりは響かない。
子供が遊ぶ音や家族の会話などの生活音、設備機器の音、楽器の音なども、それほど気遣いせずいられる。
おとなりの生活音を聞くと安心する、なんて人は共同住宅向きかもしれないけど(笑)
ペットを思いのまま飼育することができることも大きな利点だろう。
いまだ、ペット禁止の賃貸住宅は多い。家が傷むし匂いがつくかもしれないからだ。

ペットOKの共同住宅でもマナーは気になる。
得てして、他の人のペットに対しては厳しい目で見てしまいがちだ。
でも、ペットと暮らすことはかけがえのない経験になる。
特に、お子さんには生き物に触れ合う経験は必要だと感じている。

そして、なにより自由なこと!
周りからの干渉もそれほどなく、自由にふるまえる。
自分らしい生活空間を作ることもできる。
外回りも自由に使えるので、植物を楽しむこともできる。

などなど、いろいろ利点ある一戸建て住宅。
月々の支払いが家賃以下で実現できれば最高だと思うのは私だけだろうか。

住環境を変えたいと思ったら

さて、何を書こうかと思い「何が知りたい?」と知人に聞いてみたところ、

住宅取得までの流れを知りたいとの回答だったので、

ここで初心に戻り一から書いてみます。

 

今の生活を変えたい。そう思って住宅購入などを考えたはずですが、

まず、どうしてそう思ったか「理由」を整理してみてください。

・家族が増えるから

・音や隣家への気遣いにつかれたから。

・賃貸の費用がもったいないから。

・資産形成

・老後の不安

・ペットと暮らしたい

などなど、さまざまです。

冷静に考えるためにも、自分たちの初めの「理由」を覚えておくことは重要です。

家族で話合いの過程もわかりますし、感情に流されないためにも書き留めておくことをお勧めします。

冷静な判断のためにも、「理由」に引き続きネガティブな「リスク」も書き留めておくことをお勧めします。

(普通の営業はこんなこと言わずに、明るい未来イメージのみで、自社をお勧めするところですが(笑))

「リスク」が全くない選択は存在しないと思いますが、そのリスクを受け入れる覚悟ができますし、

「リスク」に対しての対処法も先に考えておくことが大切です。

受け止める心の準備ができるからです。

また、あきらめる基準も前もって決めておくこともおすすめします。

では次に、住生活を変えるために、考えられる選択肢としてあげていきます。

・別の賃貸へ引っ越す

・マンションを購入する(中古・新築)

・一戸建てを購入する(新築する)(中古・新築・建売)

・現在の住まいをリフォーム。あるいは建て替える。

 

これらが、選択肢に上がってくるはずです。

先ほど考えた「理由」や自分の暮らしと照らし合わせながら、これらを比較します。

その際、今後予想される生活の変化などに対応できるか?(お子さんの進学など)費用は?

ローンを組む場合の返済額は?それ以外にかかる費用は?(税金など)

など、時間の経過とかかるお金の検討も忘れずに。

次に、情報が必要です。

ネット社会になりましたし、情報収集はたやすくなりました。

しかし、何が正しくて何が間違えか見極めるのは難しいですね。

なんとなく自分がどうすべきか見えてくるとは思いますが、

まだまだ簡単に決定はしないでください。

ここから、実際に不動産会社、建設会社との相談へと流れていきますが比較検討は大切です。

 

可能性のある選択肢の中で数社にアプローチします。

金銭面で、借入の必要がありましたらこの段階で銀行へ相談に出向いたり、

FP(ファイナンシャルプランナー)へ相談したりします。

現状の把握、今後の資金計画に知恵を貸してくれます。

また、この後、各社の営業が必死にアプローチしてくることでしょう(笑)

その時、先ほどの「理由」「リスク」が役に立ちます。

銀行・FPにしろ、各社の営業にしろ、工事推進派であることは間違いないはず(笑)

冷静な判断が必要なところです。

ここまで、ざっくりしたアドバイスでした。

では、いざ「工事」を行うことにした場合へと進みます。

 

工事を頼む時の選択肢として

 

・知り合いの大工さんに頼む

・お気に入りの工務店に頼む

・設計事務所に頼む

・ハウスメーカーに頼む

 

などが考えられます。

それぞれについて、考えてみます。

 

 

・知り合いの大工さんに頼む

利点としては知り合いなので、そうそう手を抜かないこと。

好意で何とか安く上げようしてくれることでしょう。

多くの場合、最初の計画もざっくりとしたもので、着工していきます。

大工さんに頼んだ利点として、現場で変更を聞いてくれる。と考えますよね。

しかし、実はこれは危険です(笑)。知らぬ間に違法建築物になってしまったり、構造的に問題が出てきたりしてしまいます。

最近の大工さんはモラルも上がって、キチンと設計士に相談してくださる方が増えました。

(つまり、設計士もかかわっているばあいがほとんどです)

また、このような現場の変更が増えると、工事後に追加請求を申し出されることもあります。

気持ちよく工事を終えたいので、お互いコスト面での気遣いは大切です。

 

 

・お気に入りの工務店に頼む

工務店さんも、親身になって要望を聞いてくれます。

「施主と一緒に作り上げていく」という感じです。

見積もりもざっくりしたものではなく、細かく拾い上げているので工事後の追加請求もあまりないと思います。

計画もイメージがつきやすいパース(写真のようなイメージ図)で示してもらえることがほとんどです。

最近の工務店さんは勉強熱心です。コンプライアンスや、気密断熱はもう必須です。

営業の方の人柄も大切です。

工務店さん独自のポリシーや独自性を比較して検討するのもいいでしょう。

 

 

これじゃ、設計事務所に出る幕ないなと思ってしまいます(笑)

でも、負けずに設計事務所の利点を説明しますね。

 

・設計事務所に頼む、

では設計事務所に頼む場合の利点を再度説明します。

工事金額と設計料は、別々の支払いになります。高くつくと思われますよね。

実は工事金額が工務店さんに直接頼むより安くなります。

これから、その理由をのべますね。

1、新築の場合、そもそも工務店さんの見積もりの中に、設計料は含まれています。

管理料の中に含まれて明細には出てきてないかもしれませんが、どの現場でも設計士の関与が必要だからです。

2、設計士は図面をたくさん用意します。事前に細かく決めていきます。

図面をたくさん用意し細かいところまで指定した場合、下請け業者から上がってくる見積もりも安くなります。

漠然と「坪○○の一軒家で見積もって」と言われたら、

「細かいところがわからないな。損をするかも。高くしておこう!」となりますよね。

それより、「この器具が何個」、「この仕上げは何㎡」、「コンセントはここに二口」と細かく指示がある場合

ごまかしが効かないからです。

3、さらに相見積もりや、入札などを行うと各社頑張ってくれるものです。

その分、仕上げや設備にこだわったることが可能だったりしますよね。

コストとは関係ありませんが他にも利点があります。

工事がきちんとできているか、第三者の目で監理を行います。

その他

手続きが面倒で安くなっている敷地なども、設計士事務所に頼むとなんとかなるかもしれませんよ。

と、手前味噌ですが、設計事務所へ頼んだ場合の利点を挙げてみました。

 

ではデメリットは?

形(デザイン)にこだわりすぎて、生活がしにくい家になることがある。

設計士の熱い思いが先行して、不必要な装飾多くなったりする。

 

少し前にこのような声を聞くこともありました。

きっと一部の設計士さんの話だと思います(笑)

・ハウスメーカーに頼む場合

ハウスメーカーは、品質も良く安心感があります。

最新のテクノロジーも組み込まれていますし、営業マンは補助金、税金控除などの知識も豊富です。

購入するのにもいろいろ考えずに、カタログやモデルハウスで確認し選択することができます。

ただ、その分お高いです(笑)。CM代、営業代にお金がかかっていますし仕方がないのです。

あまりあれこれ、考える時間がない忙しいご夫婦には、クオリティーも高いですしお勧めです。

しかし、家づくりを楽しみたい方には物足りないかもしれませんね。

そしてもう一つ、後々のリフォームが自由にできない建物も多くある点は考慮しておく必要があります。

 以上、「住生活を変えたいと思ったら」思いつくまま列挙してみました。
年を重ねるごとに変化することが億劫に感じられます。否応なしに時代は変化してしまうし、昨今はそのスピードの速さに負けてしまいそうです。

でも新しいことを始めるのは、ストレス解消にもなるらしいです。

変わらない部分を大切にしながら変化も楽しんで受け入れたいですね。

 
 島原の猪俣金物店のかき氷。

中庭の池にはカメが20匹ほど。たまに脱走もするそうです。

赤ちゃんカメも4匹誕生していましたよ。

小さな家は魅力的

「リビングは大空間にしたい」「寝室をもっと広く」「収納はたくさんほしい」などなど、2回、3回と提案を重ねていくうちに欲望が湧き上がってくる。それを、はいはい聞いていくうちに敷地にめいっぱいの平面計画になってしまうことがしばしばあります。敷地が狭く地価が高い土地ならば、それも致し方ないとは思います。しかし、一般的な宅地の場合はあまりお勧めするものではありません。昨今「小さな家の良さ」が見直されています。その理由をお伝えしようと思います。
大きい家にはデメリットとなる面が多々あります。
まず、敷地一杯に建ててしまって余裕があまりないと、採光や通風に影響します。それは周囲の建物に対しても悪影響です。自分が良ければそれでいい、と利己的なのは良くないはずです。近隣住民、お互いがお互いのためを思う社会のほうが、自分自身の為にもなるものです。現に、敷地にめいっぱい建てた家は、暗くなりがちで風も通らず不健康で不経済です。
 景観的にも、周囲へ圧迫感を与えてしまいます。建物は街並みの一環でもあることを自覚しなくてはいけません。古代ギリシャでは「建築家とは、神に代わって風景を創ることを許された唯一の人」とされていたそうです。現在では建築家以外にも風景を変えてしまうことができてしまいますが、それぞれが「神に代わって」と感じるくらいの責任を持つことができたら古代ギリシャのような美意識の高い、統一感のある美しい街並みができるのかもしれません。
 住宅計画は家族の人数が多い時にはじめることが多いものですが、いずれお子さんは独立、結婚をして巣立っていくことが一般的です。すると使われない部屋が発生します。掃除も滞り、空気もよどみその部屋には使わないモノがたまってきてしまいがちです。そして、その部屋から建物は劣化が進んでいき魅力が減り、ついては空き家と化してしまう。という流れが近年多く見受けられます。
 

そして何より不経済です。イニシャルコストもですが、ランニングコストもです。坪単価60万円だとして一坪削ってその60万円。総二階だと建坪1坪減らせば1階2階で120万円が浮きます。その分で生活の質をあげ快適に過ごすほうがずっと有意義だと感じないでしょうか。

 

では次に、小さな家のメリットを上げていくことにします。
 構造が堅牢になります。(設計次第ですが)小さい家は崩れにくいのはイメージが付きやすいかと思います。狭い箇所に柱も密集しますし、高さを抑えることで安定感が増します。

 

  ランニングコストのあまりかからない快適な空間で外部環境を楽しめます。今の住宅にはシックハウス防止のため、法律で24時間換気扇を設置するのが一般的です。高気密、高断熱を謳っておきながら24時間換気で温熱エネルギーを無駄に放出しているのです。建坪1坪削って浮いたお金で熱を変換できる換気扇に変更すれば省エネにもなります。容積が小さい分、エアコンも効率的になります。外部空間に余裕ができることで、風通し、日当りをよくすることができパッシブ効果も向上します。
 一説によると、快適な住宅に居住することで、四季節を楽しめるようになるといいます。個人差はあると思いますが、「寒い部屋で過ごしていると、雪の風景を楽しむ心境にはなれないよ」と聞くと理解できる気もします。

何より、快適な空間で暮らすと体調が良くなるという、最近の調査報告もあります。ヒートショックはもちろん、お子さんのぜんそくが治ったり、アトピーにも有効と聞きます。高齢化社会をむかえるにあたり快適な住宅にすまうことは必須なのではないでしょうか。

 他にも家族との距離感が近くなりますし、家族が減った時にもさみしくない広さで、掃除などの家全体の日頃の管理もたやすくなります。
  また、外観の印象もスマートになります。庭や周辺環境とのバランスもあるとは思いますが、大きい家のような圧迫感はなくなります。街並みの景観にも貢献できる空間を作りこともできます。
  それでも、「広々とした空間で暮らすのが夢なんだ!」という方もいらっしゃると思います。建坪が小さい家でも広さを演出する工夫はいろいろあります。とお伝えしたい!

 

  ひとつは、抑揚のある空間を演出すること。狭いところから広いところへ移ると、心理的にとても広く感じます。このように家の中に対局となる空間を作るのです。広さだけではありません。高さ、明るさ、などもです。いい建物にはリズムを感じます。

 

 他にも広さを感じさせる工夫に、ヌケ感があります。視線のヌケです。外部環境をどう室内に取り入れるかも設計の腕が試されるところです。

 

 動線を考えることも、狭さを感じさせないためには必要です。回遊できるような設計だと、狭さのストレスも軽減できます。

 

 他にも苦肉の策ではありますが、鏡をつかって広く見せる。壁の色を寒色系にする。などの小技も少々。これは、建築後のDIYでも対応可能ですね。

 

小さな家のメリット、お伝えできたでしょうか?

 

 最近は、ミニマリストの台頭も相まって世界的にもトレーラーハウスやツリーハウスなど、小さい家が注目されています。偏ったミニマリストはいかがなものかとも思いますが、何かを成熟させるためには別の何かを潔くあきらめる必要があると考えます。CUTがあってGETがある。スティーブジョブズも禅の教えから、かなりのミニマリストだったとか。お金持ちの家にはモノが少ないそうです。ドラマの中の金持ちの家はすっきりしているのもうなずけます。

 

 そんなことを考えながら、また、提案を重ねるごとにどんどん大きくなっていく平面図を眺めながら「また無駄が増えてくなー、まるで私の脂肪のようだ・・・」などと感じてしまうのでした。

(かつて建築界で「メタボリズム思想」というものがあっての連想です。)

 

 

豊かさとは2

小堀哲夫氏の講演を聞いてきました。

現在注目株の若手建築家です。

代表的な建物にROKI Global Innovation Centerがあります。

空調や光を最先端のプログラムを用いて取り入れ方ている方で、

レンゾピアノを彷彿させる建物だな~と感じていましたが、

そこには大切な思いが込められてのことでした。

 

「建築と環境と人間」と題してのお話でした。

建物と人間の間に環境があり、これが大切だと。

環境は、目に見えないものです。虚です。

光や影、風やにおいなど。

空気感、それとも「間」とでもいうのでしょうか?

それを作るのが建築なのだと。

ものを作るより、環境をつくる。

そして、その環境に「人の幸せづくり」もかかわってきます。

その空間を人がどう感じ、どう使用するか?

その会社、そのコミュニティ、その人のために、

どう行動することがいいことなのか、からの発想で環境をつくりあげています。

建物だけではなく、人を巻き込んでいく建築とでもいいましょうか。

開かれることが大切であれば、どんどん人が集まる空間をつくる。

そして、新しいつながりが生まれ、新しいことが始まる。

そんな建物には、とてもおおらかなものも感じました。

 

私は、そこに時間の考えもプラスしたい感じています。

今までの歴史、これからの人の成長、季節の移り変わり、一日の移ろい、

そして、人の移動もです。

 

大きなことを言っているようですが、

根底にあるものは住宅にも共通すると考えています。

お金をかけて作るだけではなく、豊かな住宅を作りたいですね。

 

いい仕事

人は迷うものです。

最近迷っているお客様が多い気がします。情報が多いせいかもしれません。

安い買い物ではないし、まして暮らし方、生き方まで左右しかねない住宅となると、それは迷って当然です。仕方のないことだとも思います。

今や医療でもセカンドオピニオンが重要時代ですから、住宅もそうなのでしょう。

 

「これでいいのでしょうか?」と尋ねられることもあります。

 

正直、設計事務所に住宅を依頼するとローコスト住宅は期待できません。

いや、作ろうと思えば作れますがどこかを犠牲にするのかを正直に申し上げます。こっそりどこかの性能を落とすなどしたくないのです。なので坪単価も高くなりがちです。

地場の大工さんや工務店に依頼すれば、発生することのない設計料も高く感じることでしょう。私だってそう思います(笑)

じゃ、自分で設計できればいいのですが、やってみるとわかりますよ。これがなかなか難しい。間取りをあれこれいじっているうちに、不自然な形になってきたり、意外と難しいのが階段の位置、、そしてトイレを忘れたり(笑)。

機能性重視のローコストなすべて既製品でできたお家もいいのですが、それでは愛着のない家になってしまいます。

何が言いたいかというと、

どうせ高額なお金払うなら、豊かな暮らしができる家に住みませんか?

と言いたいのです。では、何が豊かさなのか?

それは、人それぞれです。

なので大切なのは、最初にコンセプトを決めること。

自分がどう暮らしたいのか、どんな人生を過ごしていきたいのか。です。

同じゴールを目指して協力し合えることが、建築士に依頼するメリットです。

なので、早くて安い家は作を作ることはしたくはないのです。

 

先日、先輩建築士さんがおっしゃってました。

一つの仕事に全員がどれだけ集中できるか、そこでいい建物になるかどうかが決まる。と。

 

発注者、考える側、作る側、が共に一つの方向に集中した仕事はいい仕事になります。

迷っていてはもったいないのです。

 

とそんなことを思う今日この頃です。

 

住宅デザイン学校

先日、(といっても2週間ほど前になりますが。)住宅デザイン学校を受講しました。

実際に敷地を見て手書きで計画を表現するという内容なのですが、まったくできずに結構落ち込みました。

敷地を読むことからはじまり、3時間で手書きで表現するまでに持っていきます。

憧れの伊礼先生の事務所を見学し浮かれていました。そして、なめていました。
というか実力の無さに愕然としました。

他のみなさんは、すごい!

自宅に帰ってから初心に戻り、ごそごそと住宅設計にあこがれていたころ買った本たちを引っ張り出してきて、それを模写したりしています。

吉村順三さん・永田昌民さん・宮脇壇さん・中村好文さん・伊礼智さん。

伊礼先生もおっしゃっていた、「敷地を読んで形や構造から考えていく」こと。光をどう取り入れるか。
同じことが、きちんと本の中のいろんなところに描いてあるじゃないですか!
そんなことを忘れて、家族構成や要望、法規のことばかり考えて、小手先で間取りをこねくり回していました。
(結果、法規も無視したところに行き着いていたのですが(笑))

頭が、資格試験用になっていたのです。

そして、日頃、PCに頼っている自分にも気づきました。手を練り目を養わないと!

 発表の会場は自由学園明日館でした。フランク・ロイドライトの建築です。
時代を超えてもすごくいいです。
そこに身をおくことができ、とてもうれしかった。
名建築に身をおくことも大切だと実感しました。